WORKS
不良の初期対応と異物調査のナレッジを、一つのシステムから引ける形に
製造工程で不良や異物が出たときの原因の見極めと初期対応は、担当者の経験に頼っていました。部署ごとに分散していた品質ナレッジをAIが検索できる形に構造化し、推定原因と最初に確認すべき項目、異物の発生源の候補を画面上で受け取れる状態に変えています。
- 業界
- 製造業
- 企業規模
- 従業員1,000名以上
- 対象部門
- 製造・生産技術・品質保証
- 支援期間
- 1年以上
- 主な技術
- RAG/ナレッジ構造化/既存帳票からのデータ取込パイプライン
OVERVIEW
プロジェクト概要
製造業の企業の、製造現場における不良対応の取り組みです。製品に不良が出たときの初期対応と、異物が見つかったときの発生源の特定という2つの業務を対象としています。
製造・生産技術・品質保証の各部署に分散していた品質ナレッジを構造化し、担当者が一つのシステムから引ける状態にしました。
CHALLENGE
課題
不良が発生すると、どの工程・どの設備が原因かの見極めと、まず何を確認すべきかの判断が担当者の経験に依存していました。判断のもとになる資料は、不良対策マニュアル、過去の異物の成分分析結果、現場のノウハウをまとめた資料、部品の仕様資料といった形で複数のファイル形式に分かれ、置き場所も部署ごとに異なっていました。
異物が見つかった場合は、どの工程・設備で付着したかを特定するために、分析を担当する別の部署へ問い合わせる必要があり、回答を待つ間は調査が止まっていました。また、現場が何を確認してどう判断したかは記録として残らず、確認漏れがないかを管理者が後から追えない状態でした。
APPROACH
支援内容
各部署でExcelやPDFのまま運用されていた不良対策マニュアルと、部署内で共有されていた対応報告を、不良の種類・発生工程・5M(人・設備・材料・方法・測定の5つの変化点)の観点で構造化し、AIが参照できるナレッジとして整備しました。その上で、次の機能を構築しています。
- 01不良の初期対応の支援担当者が不良の状況を画面上で選択していくと、RAG(AIに社内文書を検索させたうえで答えさせる方式)で関連するナレッジを引き、推定原因と最初に確認すべき項目を候補として返します。確認した項目と真因の判断は、そのまま記録として残せます。
- 02異物の発生源の調査過去に発生した異物の事例、成分分析結果、工程ごとの記録、現場のノウハウ資料をそれぞれナレッジ化し、外観や画像といった異物の特徴から、発生した工程・設備の候補と過去の対策を横断して引けるようにしました。
- 03部品の材質情報の取り込み照合先となる部品の材質情報は、書式のそろっていない仕様資料からAIで抽出し、比べやすい形に揃えてナレッジ化しました。
- 04運用を止めない構成元資料が更新されて項目が増減しても画面や検索条件を作り直さずに済むよう、選択肢をデータ側から生成する構成にしています。部署をまたぐ利用に備えたアクセス制御も整備しました。
CHANGE
業務の変化
| 項目 | 従来 | 現在 |
|---|---|---|
| 異物の過去事例の照会 | 別部署へ問い合わせ、回答を待つ間は調査が止まっていた | 画面上で特徴や画像を入力し、過去の事例・分析結果・ノウハウを横断して候補を受け取る |
| 初期対応の判断材料 | 部署ごとに置き場所の異なる資料と、担当者の経験 | 不良の状況を選ぶと、推定原因と最初に確認すべき項目が候補として出る |
| 確認の経過と判断 | 記録に残らず、管理者が後から追えなかった | 確認した項目と真因の判断がシステム上に残る |
RESULTS
成果
別部署へ問い合わせて過去の分析結果を探していた異物の調査は、画面上で異物の特徴や画像を入力すると、過去の発生事例・成分分析結果・ノウハウを横断して候補を受け取れる形に変わりました。
不良の初期対応でも、以前は残らなかった確認の経過と判断がシステム上に蓄積されるようになっています。現在は現場への配布と改善を重ねながら、利用状況を可視化する画面を整備し、効果測定に着手する段階にあります。
